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観劇、LIVE覚書

ニジンスキー 〜神に愛された孤高の天才バレエダンサー〜  20120407

DANCE ACT ニジンスキー
〜神に愛された孤高の天才バレエダンサー〜

天王洲銀河劇場
2012.04.07

脚本/演出:荻田浩一
音楽:斉藤恒芳
振付:平山素子/港ゆりか
企画/プロデューサー:栫ヒロ
主催:ニッポン放送
企画/製作:ニッポン放送/M・G・H


毎度のことですが、的外れな事言ってます。


行かなきゃ。って、これは観ておかないと。って、何かにせっつかれて行って来ました。
ガショブラと重なってたのと、上手いことその日のチケットが取れた幸運です。
告知された当初は、二月から遠征が続いているのと経済的にやっぱり苦しいので予定はしていませんでした。誘ってくれた友達にも「新吾さんも龍ちゃんも出てないのに?」なんてすげなくしてしまうほど・・・ほんと、五体投地で謝る。ほんっとごめんなさい!
ABZが終わって、ブログとか動画とか今までにない過剰なプロモを見ている内に、これは東山さんにとってターニングポイント、代表作のような作品になるんじゃないかなって考え始めて、そしたらもう観にいかなきゃと慌ててチケットの手配をしました。
行ってよかった・・・
知らない東山義久がそこにいました。
そんなにたくさん出演作を見ているわけじゃないけれど、D公演を含め、マシューにも与七にもテンジンにもバハバスにも、どこか「東山義久」がのっかってると言うか、見え隠れしているような感がありましたが、ニジンスキーにはそれがなかった。
私が東山さんの何を知ってるんだって話になるけど、それでもMCやらトークショーやらでこちら側に見せてくれる「東山義久」像が、役の向こう側に見えてたんだな。
ニジンスキーは、それが、本当になかった。(最後の最後でちらりとあったけど、アレは演出なのだと思う)
幕開けて暫くはひたすら踊るのみ。岡さんの「肉体が喋る」って言葉がまさしくぴったり。
語り、述べる岡さんや安寿さんと同じ板の上で、まるでその言葉を体現するように只管踊る。
そして第一声。
一体誰が喋っているのかと思いました。聞いたことのない東山義久の声。くぐもった声で、ぼそぼそと喋る。おどおどと、怯える。
乱れた髪に曲がった背骨。ああ、だけど車椅子に座るそのつま先の美しさったらないんです。つま先だけ一点凝視してしまうほど。
もちろん踊っている時だって美しいんです。美神って友達が言ってた意味がわかった。
私はニジンスキーという人を名前だけでしかしりませんでした。付け加えるならゲイだったと言う表面をなぞらえただけのプロフィールしか知らなかった。どんな踊りを踊っていたかとか、どんな作品を残したのかとか、ちっとも知らなかった。
だから、半神半獣の東山義久をこれがニジンスキーなんだって素直に見れたのかもしれない。
薔薇の精もシエラザードも牧神も、ほんっとに美しかった。そして人間の体ってすごいんだなって改めて思った。もちろん、そこまで作りこんでいるからこそなんですが。

東山義久礼賛を続けているときりがないので、内容にも触れていこう(笑)
語り部安寿ミラさん演じるニジンスキーの妹、ブロニスラヴァ。愛称はブローニャだったかな?
彼女が手に取ったのはおそらくニジンスキーの手記。そして彼女の記憶。
生い立ちから彼が狂い、死に行く時までをページを捲るがごとく語り、そしてそれにあわせて場面が転換します。
とにかくこのブローニャがかっこいい。
私、荻田さん作品を苦手にしていたんですが、実は振り返ってみると結構見てる。それで、どの作品を見て苦手だと思ったのか検証してみたら、男性ばかりの出演作意外はわりといけてるんですよね。
写楽は井上さんの脚本ありきだったけど、ワイルド・ビューティなんかは内容へビィだし読取り難い部分もあるけど見ごたえはある。何より、女性がかっこいい。
そう、女性がかっこいいんです。
今回も、ブローニャとロモラ。女性が二人いますが、それぞれにかっこよかった。
ブローニャのかっこよさはずばり見た目です。
すらりとした長身をパンツスタイルの衣装に身を包み、淡々と狂気に向かう兄の人生を語る。もうひとりの兄、狂ってしまったスタニスラフの事を語るときでも感情は一切はいらない。
そんな硬質な手触りの、自分とは違う次元の偶像としてのかっこよさ。
彼女は二部でスーツからドレスに着替えるんですが、そのドレスがまたすごい。贅沢〜〜〜って目を瞠るほどたっぷり布を使ったドレス。裾をつまんで両手を広げてもまだあまる。憧れですよね、ドレスの裾を摘んでひらひら踊るなんて。
しかもこのドレスが優れもので、次に出てきたときには二段スカートになるように腰の部分に別のスカートを巻いている。これでガラッと雰囲気が変わる。そして次にはそのスカートもとりはずし、大きなパフスリーブもはずしてノースリーブのロングドレスに。スレンダーだからばっちり似合ってて、それはもそれだけで溜息ものなわけです。
思い返してみると、ロモラより衣装数おおかったんじゃないかな?

ロモラはといえば、悪妻と呼ばれるだけあって、冒頭から車椅子に乗って微動だにしないニジンスキーを前に、当てこすりのようにフレンケル医師に粉をかけます。が、これがよくわからないんだ。
ロモラはフレンケルを誘惑しているのか、フレンケルがロモラを誘惑しているのか。どちらとも取れる気がするのはフレンケルが言い寄るとロモラが躱すから。
こちらは物語の中の人だからか、ブローニャよりわかりやすい。感情を露わにニジンスキーを罵ってみたり憧れたり恋い焦がれたり。何より凄いなって思ったのは、ニジンスキーの愛人であるディアギレフ相手に真っ向立ち向かうその心意気っていうか根性。
未払い給与の訴訟を起こすと訴えたロモラに生活費は全部自分が払っていたと帰されれば、それはアナタが個人的にしたことでしょうとばっさり切った所なんかもうブラボーブラボーよ。言われて黙り込んだディアギレフの情けない顔ったらなかったもの。
なんか世間様では悪妻と言われているらしいですが、私はそんな悪いようには思わなかった。(それはもちろんこの荻田版のニジンスキーの中の話で、荻田さんがそのように描いたからかもしれないけれど)
彼女は愛が強すぎたんじゃないかな。ニジンスキーに憧れて、恋して、彼を手に入れるためになりふり構わず近づいていって。
そして彼が自分を見てくれたときの感動なんて、私には想像もつかない。言葉も通じない彼と、二人で少ししか話せないフランス語で、不自由ながらも愛を語る。
だからこそ伝わった言葉が二人の間にあったんだろうと思う。
空っぽのふたりが空っぽのなかみを満たすが如く愛し合い、結ばれて、やがて結婚した。
ロモラはニジンスキーに愛を注ぎ、彼女もまた満たされることを望んだ。でも現実はそうじゃなかった。
ニジンスキーは愛されたがりのお化けで、ディアギレフから、彼女から、世界中から愛されたかったに違いない。
彼女と結婚することで、彼はディアギレフから見離された。それは今までの愛人関係から解放されたともいえるけど、それをニジンスキーは本当に望んでいたのかな?それこそ、ディアギレフの言うとおり、彼の愛情が薄れているのを感じて、無意識の内にロモラでそれを満たそうとしたんじゃないのかな?
だから無意識にしろなんにしろ、ディアギレフを失い、今までとは違う場所や環境におかれて自分の望まない仕事をするストレスでロモラに暴力をふるい。少しずつ狂っていったんじゃないかな。
何だかすべて推測と憶測ばかりなのだけれど、それでもロモラは彼の側を離れなかったんだよね。
ニジンスキー夫人という称号を捨てたくないため?そんな事だけで狂ってしまった夫と一緒にいれるかな。
たとえ3年間施設に放り込んでそのままだったとしても。お金お金って守銭奴みたいに喚く彼女が、そのお金が一番かかるニジンスキーと縁を切らなかったのはやっぱり愛なんじゃないかな。
彼女は「いつか彼が元に戻ってまた踊れるかも知れない」って言ってた。ロモラはきっと踊っているニジンスキーにまた会いたかったんだ。
恋をした彼に、恋をしたあの時の姿を見せて欲しかったんだ。
そう考えたら、すごく逞しくてかわいい女性に思えた。
浮気はしかたないよ、だって狂ってる人は抱きしめてなんてくれないもん。寂しさを埋めるための愛を求めるのは罪・・・かなぁ?
おぉ。ロモラについてこんなに語ると自分でも思ってなかった。でもとってもわかりやすくて、しっかりとつかみ取れるキャラクターだった。なりたいとは思わないけれど、その図太さとたくましさがかっこいい。
演じている遠野あすかさんが細身で華奢だから、その見た目と内の力のバランスがまた良かったんだ。

ディアギレフはもう、お前、いいから・・・と何度思ったかしれない。とりあえず胸を揉むのはやめなさい、やめてください、お願いします。土下座するから頼む。
時代だと思うんです。少年二人を愛人にして代わる代わる愛するのが夢だなんて今の世では数秒後にお縄です。近所の人に確実に通報されます。
けれどそれがまかり通る、それが20世紀初頭の時代背景。貴族だなんだの階級制度が生んだ闇。
別に同性愛がいけないとは思わない。性的嗜好は人それぞれだし、どうにもならないことだってある。
でも無理強いはいけない。生活のためだからとノンケが体を売ってたらそりゃ病むだろうと思う。ディアギレフは言った、彼は初めてじゃなかったと。その随分後に強姦という言葉が出てきた。想像はふくらむけれど、それがニジンスキーの狂気の発端のひとつだったかどうかはわからない。
ニジンスキーはディアギレフとの仲を商業的な関係だと割り切っていた?才能を目覚めさせ、場を与えてくれたのは間違い無く彼だと思う。たとえそれが己自信の成功のためだとしても、それはニジンスキーにとっての成功でもあったのだから、お互い様のような気もする。
憎し恋しだったのかなぁ。
ディアギレフが真性のゲイだったなら、売春婦を買い、ロモラと結婚したニジンスキーの裏切りは許せなかっただろう。これでもかと追い詰めて、もしかしたら彼が戻ってくるのを期待していたのかもしれない。そうでなくても、彼を徹底的に潰すことがディアギレフの愛情の裏返しだったのかも。
結局、彼はアメリカでの興行を成功させるためにニジンスキーに戻るように掛け合うのだけれど、そこでロモラと対峙してしまう。
正妻と愛人の衝突のすさまじさったら・・・けれど口で女に勝とうと思っちゃいけなかったね。あと、二人して厄介なのにひっかかったよね。ロモラはかっこいいなっておもうけど、ディアギレフはちょっとかわいそう。
だって、彼は完全に狂ってしまったニジンスキーをあちこち連れ回して舞台を見せたりなんやかんや最期まで世話をやいていたのよ。それってすっごく愛してるって事じゃない。
なのに、ニジンスキーから彼に与えた愛ってあるのかな。体だけじゃなく、精神的に彼に愛を注いだことはあるのかな。それが必要無い関係だったのだとしても、最期まで大事にされていたことをニジンスキーは知らずに死んでしまったのがなんだか悲しい。
なんて思ってしまうのは、物語の中では憎まれ役のディアギレフなんだけど、それをやってらっしゃる方があまりにも素敵だから、つい格好良く欲目で見ちゃうんだろうね。だから酷い人だけど可哀相な人と思ってしまうのかも。
岡さんのセクシー&ダンディズム漂うディアギレフ。さらにあの美声。まぁ、ニジンスキーとの絡みは正直見てはいけないものを見てしまった、おかわりー。って感じだったよ。でも胸はもまなくていい。

主要人物はこんな感じかな〜。フレンケル医師も物語の登場人物としていたけれど、私が感じたこの人への感想は「いい面の皮」です。
ロモラに誘惑されたり誘惑したり、お互い家庭がある身でそれはだめでしょー。最終的にふられているし・・・。なんていうか、一番切ないのはこの人なのかな?
あと(∵)演じるニジンスキーの兄、スタニスラフ。愛称はスラーヴァ。
6才で発狂して29才で亡くなった(亡くなった年がちょっと違うかも)。彼は母親の手に追えず、病院(ブローニャが収容所って言ってから言い直していた)に入れられていた。
彼が亡くなった1年後にニジンスキーは発狂した。
スラーヴァの存在はニジンスキーにとって恐怖だったのかも。
ふらりと現れて纏わり付く死の恐怖、自分もああなるかも知れないという恐怖、或いはもっと別の・・・。そんなにおいを漂わせながら虚ろに現れ、去って行く。
ラストシーンでは降りてきた鏡の向こうにスラーヴァがいたり、ニジンスキーに死が近づいたときに現れたり。
ニジンスキーにとってスラーヴァを死と狂気のアイコンとして使っているように見えた。二重の意味での存在だったのかな?
でもってスラーヴァは私にとっても怖い存在でした。
とくにスラーヴァの死を伝えられたシーンで、彼の狂気と死を踊っている(んだと思う)んだけど、だらっと長い袖を二人のダンサーが咥えて四つん這いになってスラーヴァの後をついてくる。ダンサーはその袖をスラーヴァに巻き付けたり、振り回したりして彼を苦しめる。スラーヴァはそれに抗おうとするけれど、抗いきれない。最期、悲鳴をあげながら昏い死の底に引きずり込まれていくスラーヴァ。
あの悲鳴が耳について離れないんだよ〜こわいんだよ〜私こうゆうの苦手なんだよ!!!(泣)
袖だらっと出てくる前に、ほぼ壁から水平に上体だけを覗かせたのも恐怖!もう、このシーンは恐怖のオンパレード!!!!
泰ちゃん難しかっただろうなぁ。兄の役と聞いた時に、見た目的に無理がないかと思ったんですが、6才で発狂してと冒頭で語られた時に「なるほどな」と自分の中では見た目の問題はクリアされました。周りがダンサーさん含めしっかり体型の人が多かったから、泰ちゃんの線の細さが病的に見えてよかったかも。
でも気付くとそこに茫洋とたっているスラーヴァ。こわいよ・・・


そんな主要人物5名で語られていく物語ですが(スタニスラフはほぼダンサー?亡霊?扱いで喋らない)、ダンスアクトなのでなくてはならないのがダンサーさんです。
もっと、ミュージカルっぽく歌って踊るもんだと思っていたらまったく違っていました。
ブローニャが語っている間も、ロモラやディアギレフが芝居をしている間も、踊る。踊る。踊る。
ブローニャは場面を語る事が多かったから、それを表現するのが彼らなんだけれども、それが、美しくも恐ろしい。
そう感じるのは、彼らに意志が感じられないからだと思う。まるでペトリョーシカのように、おがくずが詰められた人形達は操られて踊る。ニジンスキーが自分の事をペトリョーシカに擬えて、否定したのとリンクさせているのかな。
淡々と語るブローニャに機械的に踊る人形達。
モノトーンの衣装は質素に感じるけれどすごく凝っていて、時々布や飾りが足されて目を変えるから飽きない。
中でも風海さんは若かりしニジンスキーの影のような存在になることがあって、過去のディアギレフとの経緯を語る時はニジンスキーの代わりに彼がディアギレフに寄り添っている場面もあった。思えばスラーヴァに死のキスを送ったのはかざみんだわ・・・
ニジンスキーのダンスももちろんだけど、彼らのダンスも見所が満載で、目がいくつあってもたりない〜〜。舞城さんはダンサーの中でも紅一点、ひらひらふわふわバレリーナなんだけどかわいさはない。なぜならやっぱりお人形だから。そういえばみんな無表情だったわ(今さら)
そして皆さん動きももちろん美しいんですが、私はぴたりと止まってポーズを取ったときが一番好き。


ニジンスキーの生い立ちと境遇から始まった物語は、発狂までのカウントダウンで進んでいく。
ディアギレフとの出会い、バレエ・リュスの設立からニジンスキーの成功、そしてロモラとの出会い、結婚。成功からの転落と兄の死。
散りばめられる狂気の導火線への火花。どれもが理由のようにも思えたし、違うようにも思えた。
蓄積された不満と欲求が彼に狂うことを選ばせたのかな。世界は確かに彼を賞賛していたのに、彼が望むものはどこからも得られない。満たされない。世界の愛を一身に承けたいのに、それが果たされない。
だから、最期彼は自分を神だと名乗ったのかもしれない。神は僕だ僕自身だ、だから僕を愛せと。
戦争を踊った事は失われたたくさんの命への追悼ではなく、そんなくだらないことをしている閑があるなら僕を愛せって事なのかも。なんて、ここまで言うと極論かなぁ。
ただすごーく、自己愛の強い人だったんだろうなってこの公演を観て感じたのです。愛されたがりって、そのまんまやん。って思うけど、よっくんには愛を注いでくれる人がいっぱいいるから発狂しないで欲しいなぁ・・・(^_^;
それくらい、舞台で語られたニジンスキー東山義久が一体化していて、ちょっとこわかった。あれは剥ぎ落とすのに苦労しそうだけど、終わったらあっけらーと笑顔だったりしてね。
そうそう。まったく観たことのない東山義久がてんこもりだったって最初に書いたけれど、実はちょっとだけいつもの顔を見れるシーンがあったんだ。
最期の、星空のシーン。
ニジンスキーが死んで、その後ディアギレフが死を迎える。星空の下、それまでとは打って変わって清々した顔のニジンスキーの元に現れるディアギレフ。
それまでの物語では見せなかった、笑顔。耳に馴染んだ抑揚。ちゃめっけのある動き。
あー、東山のよっくんだ〜。ってちょっと肩の力が抜けた。
ディアギレフとの軽快なやりとりも、それまではなかったもの。友人として、恋人として、パトロンとして、色んな立場で自分に関わり繋がった彼に伝える本音。そしてそれをギスギスせず、大人の余裕で受け止めて優しい笑顔を見せるディアギレフ。
最初はそんな関係だったのかもしれない、それとも圧し包み隠してきた本音を今だから言えたのかな。
ディアギレフは少しの苦さを噛み砕いて去る。結局君が選ぶのは彼女なんだ。
入れ違いに登場したのはロモラ。優しく恋人を抱くニジンスキーに愛情たっぷりで応えるロモラ。朗らかな恋人同士、愛溢れる夫婦の姿。ディアギレフがやっぱり気の毒になる。
けれど、男はアナタで懲りたからって、後生の愛人はみんな女ってどうだろう。やっぱりすごいよロモラ!
最期に現れたのはブロニスラヴァ。
それまで語り部としてしか関わってこなかった彼女がここでようやくブロニスラヴァになった。兄よりも長く生き、多くの作品を残したけれど、後世まで伝えられるのは兄の名前。兄の作品。自分は貴方の代用品でしかない。
物語の最中、二人の間にあるのは嫉妬、妬み、羨望、憎しみ(多分かなり間違ってる)と言っていたけれど、それだけじゃないもっと大きいものがあったよね。二人の兄の狂気を一番悲しんで悼んでいたのはブローニャなんだろうなぁ。
星空の下での兄妹の会話はちょっとほろりとしてしまいました。

けれどそんな「ちょっといい話」で終わらないのが荻田さんです。
いきなり風向きの変わったニジンスキー
美しいものは神が作る、美しいものこそ神、すなわち美しい俺が神。と強引すぎる理論で神を名乗り、豪語する。
そしてそして、そこでジャカジャーンと終わりかと思ったらまた少しあって、デコレーションされた枠にニジンスキーがのっかって(多分「薔薇の精」のポートレートを意識してる?)吊られていって幕。
うん、ちょっと間延びしたね。尺が足らなかったのか余ったのかどっちだろう。
何となくキリの良いところが二カ所ほどあったけど、この辺説明し難い。でもまぁきれいにオチはついた・・・気がする。気がするだけかも知れないけれど、ニジンスキーポートレートになって紙になりました。的な・・・
誰が洒落ろといった。うーん、ここまで割とマジメに感想(考察?)書いてきたのに、最期ぐだっとしたな。


最期の締めにもう一度、義ンスキー礼賛しとこ!

一番好きなのは牧神の時の衣装。
首にかけたふわふわが背中にもまわっててしっぽみたいなのがかわいい(^▽^)
この時、ニンフーが落とした布で自慰して問題になったって語りがあるんだけれど、ロモラはそれをディアギレフがやらせたのよと言い、ディアギレフは彼の欲望の果てだ芸術だと言ってまたもや一悶着ありました。
実際、義ンスキーがそんな事したら現代では確実にお縄になってしまうので、義ンスキーは布と戯れるだけなんだけど。だけど・・・二階席からその様子を観ていると、もっそいエロいの。脚をじたばたさせて、何て言うんだ、あれは、なんて表現したら良いんだ。もうなんか、やりたくてやりたくて仕方ないどうしようもない状態でほっとかれてる人みたいで・・・一服盛られたくらいの勢いでえろかったです。わかってるよ、そうゆう振付なんだよ。わかってるけど、あの人にそんな事やらせちゃだめー!(;▽;)
でもこれは東山さんだからすごくいやらしくて、いいんだと思う。もう、なんだろうこの人・・・
あと舞台セットの上に現れたときは驚いた。あれ、二階席の私からはばっちり目線の高さでうれしいけど、一階席からは見えなかったようですね。一階席上手一列目って席に座った友達はセットの上に上がられるとダメだったと嘆いておりました。その後もセットの上に泰ちゃんやら安寿さんやら上がってたから、声はすがたは見えず〜な不思議演出だったんでしょうね(^_^;
シエラザードが冒頭がっつり踊ったシーンになるのかな。パンフ見てもどこでどう切り替わってるのか・・・間違ってたらごめんなさいってことで。
シエラザードの時は車いすに乗って布をかぶっていたニジンスキーが狂人から以前の姿、すなわち物語の冒頭にたつって感じだった。この時もちょっと半人半獣っぽい。パンフに載ってた衣装になるのかな。
ひっつめて縛った髪を前に流して、角を付けてた。その角がまたデコラティブで凝ってる!ほんと、どの役も衣装が全部素敵だったな。
上半身は裸で、この為にと鍛えられた(のかどうかは知らない)胸板と上腕。もう、とにかく素晴らしい。きっと脚も筋肉倍増なんだろうな。でもしなやかで、そんなところまで上がりますか、そう曲がりますかって口をあんぐりしちゃうくらい可動域が広い。
そして、逐一美しい。
残念だったのが、二階席二列目で、前の方の頭でセンターで寝そべられると完全に姿が消えてしまったこと。前はこんな事なかったんだけど、背の高い方だったのかな〜;///;
私の後ろに席はなかったので、二幕からはちょこちょこ動かして観ました。隣の方ごめんなさい。ですね・・・
あとこれはステキ〜と舞い上がったのが、結婚式の燕尾服。
ロモラとの結婚の時にロモラはウェディングドレスを、ニジンスキーは燕尾服を着て登場するんだけど、このスーツ姿がめっちゃかっこいい。これはパンフでソロショットになってた。
変わり燕尾だから裾が長くて、踊ると翻って良い感じ!マントとかロングコートとか、とにかく翻る裾に弱いので堪能させて頂きました。
あと、この時いつものひっつめスタイルだったんだけど、結んだ髪に結わえた黒いリボンが踊る度にはらりと揺れて、絵になるわ〜。と見とれてしまいました。
スーツにひっつめっていつもDでもやってるけど、なんか雰囲気違って見えたのはやっぱりニジンスキーだったからかな?
ディアギレフとの耽美ダンスシーンももちろん必見なんですが、ああ、なんかもうほんといけないものを見た・・・。かっこいいよね、岡さん。そのかっこいい人があの美しい人をエスコートして愛するんだからそりゃもう絵になるよ。だってよっくんはぜーーーーったいあんなダンディさんにはならないもん。(おい)
なんだろう。なんだろう〜〜〜〜。あ、でもいつもよりフェロモンは少なかった気がする。良い意味での色香はあったんだけど、あのあてられそうな駄々漏れフェロモンはなかった。すごくストイックな色香。これもまたいつもと違うよっくんだった。
二度目のカーテンコールで一人で登場した後、笑顔で客席に手を振りながら、最期ガッツポーズをしてたのがかわいかったな。
そのガッツポーズした腕の筋肉にドキッとしたわけですが・・・。

と。この辺にしておこう。また「実はよしさんファンでしょう」と
言われてしまう・・・。
違うよ、新吾さんがいっとう好きだよ。何だかんだよっくん観る機会がおおいのは、出演作が多いからだよ!!!(爆)
もしここまで読んでくださった方がいたらありがとうございました。
すごい偏った感想、考察ですが、とにかくすごく良い舞台でした!
悔しいのはDVDがその場でしか買えないって事だ〜〜;□;
D公演DVD置いてたし・・・D公演で販売とかしてくれるかな〜