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観劇、LIVE覚書

ブロードウェイ・ミュージカル Footloose  201308010、0824

ブロードウェイ・ミュージカル Footloose

2013.08.03〜0901
名鉄ホール
東京芸術劇場プレイハウス
札幌市民ホール
メルパルクOSAKA
オーバード・ホール
福岡市民会館

演出・日本語台本/西田直木
翻訳/五味万実、吉田要士
編曲/会田敏樹
振付/吉田潔、阿部雅浩、植木豪

劇団スイセイ・ミュージカル


アメリカの大都会シカゴから、小さな田舎町ボーモントに移り住んできた高校生のレン。
彼の自由奔放な振る舞いは、保守的な町の大人達から受け入れられず、「トラブルメーカー」として目をつけられてしまう。
この町は、五年前に起きた”ある事件”をきっかけに、権力者のムーア牧師によって、ロックミュージックやダンスなど、若者の刺激になるものは一切禁止されていた。
この町の堅苦しい生活に戸惑うレンは、クラスメイトのウィラード、そしてムーア牧師の娘アリエル達から”ある事件”の真実を告げられる。
ショックを受けるレンだったが、同時にこの町を変える為にあえてダンスパーティをひらくという大胆な計画を立てる。
強い行動力を見せるレンに、次第に共感し熱くなる若者達。いつしか彼に心惹かれていくアリエル。
困惑する大人達。そして対峙するレンとムーア牧師。
全てを巻き込み最後に彼らが起こした奇跡とは・・・!!
(パンフレットより)


東京公演と大阪公演を観てきました!
いつも通りの私的感想文です。
セリフとかウロ覚えなので雰囲気で!

龍ちゃん主演だけでも滾るのに、豪さんとWキャスト!!
地方公演もあるし、何回観れるかなぁってウキウキワクワクしてましたが、蓋を開けたら2回だけでした・・・。
平日と地方の厚い壁!!北海道日帰りとか無理すぎる〜

さ。泣き言はこれくらいで。
最高に楽しかった!
舞台は多少ファンタジー入ってる方が好きなんですが、今回は聞き覚えのある楽曲の数々に救われておめめぱっちりで観れました。
正直、これミュージカルじゃなかったら寝てた(コラ)

豪さんレンと龍ちゃんレン。
二人の素地が生かされたキャラ作りになってた気がします。(あくまで私個人の”気がする〜”なんであってるかどうかは知りません)
どちらのレンも優しいトコと真っ直ぐなトコは変わらないんだけど、少しだけ龍ちゃんのレンの方が繊細で、子どもっぽい感じがした。
豪さんのレンは凄く自分に自信があって、プレイボーイっぽかったからかな。
アリエルの「彼って自分に自信があると思うの」ってセリフでかっこつけるのがまんまサマになってるんだけど、龍ちゃんだとそこが取って付けたようで、「あ、この子遊び慣れてない!」って思ったんだ〜。それがかわいく見えるのは実年齢のおかげかな(笑)
あと、アメリカンジョークだよねってセリフが幾つかあるんだけど、豪さんのレンは少し毒があって、龍ちゃんからはそれを感じなかったのも違いかな。
アメリカンジョークって良くわかんないからどんな舞台でも笑えないんだけど、日本語訳するに当たってこの辺どうにかなんないのかといつも思う・・・なんないですかね?
あと、不利だ・・・!と思ってたダンスシーン。
龍ちゃんのブレイクダンス(豪さんのはちょっと種類が違うんだっけね)がサマになっててびっくりした!
豪さんが教えてくれたダブルタッチって技だって。
しかも、それが大阪公演ではまた進化してて、龍ちゃんのすごさに驚きっぱなし。
でもやっぱり、ダンスで盛り上げる所は豪さんにはちょっと適わなかったかなぁ。
龍ちゃんのしなやかな動き。指先まで、爪先まで、魅せるように計算されたポージングがすごく好きなんだけど、パリッとした動きが多いヒップホップではその良さが出にくかったかなと。
でも。でもですよ、歌はね!歌は龍ちゃんの独断場〜〜!
全身を使って歌い、表現する龍ちゃんは最高にキラッキラしてた!
大阪公演のアイムフリーでは感極まって涙ぐんでしまいました。
ボーモント高校三年生達とそれを鼓舞して前進しようとしているレンの感情が爆発してて、大迫力!
バックでバスケットボールやフラフープ、縄跳びなんかを使って踊ったりアクロバットきめたりしてるんだけど、人数もすごいし、舞台が狭く感じられて飛び出してきそうだった。
他にも躍動感たっぷりの見せ場はあったけど、あのアイムフリーは超えられない。
中心で「アイム・フリー!」って叫ぶ龍ちゃんが雄々しかった〜。

アイム・フリー!の他にもヒーローやフットルースなど聞いた事のある楽曲が盛りだくさんの今公演。
公演中にも関わらず思わず体が揺れてしまいそうになる事もありました。
実際、大阪で隣に座ったおじさまは足でリズム取ってて座席がめっちゃゆれた〜。
でもそれが迷惑とかじゃなくて、あ、のってんだな〜楽しんでんだな〜って許せちゃうくらい、ステージの上はライブ状態。
ヒーローでは女の子四人がテーブルの上に乗ってスタンドマイクならぬモップスタンド(バーガーショップの掃除道具が早変わりした)で縦横無尽に移動する。
テーブルを動かしてるのはなんと他のキャストさんで人力〜!最初びっくりしたけど、段々慣れてしまってアリエル達ばかり見てた。

アリエルの星野さんも上手なんだけど、私が「好き!」って思ったのはラスティ役の増田有華さん!
ラスティっていう超早口できゃるるんっとした女の子を嫌味無く演じてて、更に歌も上手い!
”誰かが見てる”ではそれまでのキャピキャピしたキャラから一転、マイナー調の妖しげな曲をヒヤッとするほどおっかない顔で歌う。
ボーモントで過去にあったことを彼女らがレンに語り、田舎町の忌まわしい生活を聞かせてレンの希望を摘み取るって歌なんだけど、本当に恐かった・・・
ちょっと自分の中高生の頃とかがフラッシュバックして、人の目ってほんとにこえーんだよってゾゾゾってしちゃった。
そんな恐い歌も歌うのに、ヒーローや私のロミオではアイドルばりのスマイル!って、元AKBなんですね。
公演観た後でググって知って、おぉ・・・となりました。AKB層厚いなぁ。
誰かが見てるも好きなんだけど、ラスティの歌でもうこれは!シングルカットして!買うから!!とまで思ったのが”私のロミオ”
2幕最初にレンとアリエル、ラスティとウィラードが町境のダンス牧場(?)へ行った時に歌うんだけど、めーっちゃかわいい!
私のロミオはダサいけどそれでも私は彼が好き!って、踊れない事がばれちゃったウィラードの何処が良いの?って聞かれて歌う。
好き好き好き〜、彼もあたしが好き〜って、もう、あますとこなくかわいかった・・・。ウィラード幸せもんやなぁ。
ウィラードも、最初はグジグジしてて踊れない自分にイライラしてたけど、彼女の歌に励まされるように踊り出して、最後はほっぺにちゅ。で有頂天!
突然ダンスのカミサマが降りてきたように踊り出したのがおっかしかった〜。
アレって恋は人を変えるって事?それとも恋すると誰でも踊りたくなるって事なのかな。
とにかく、アリエルとレンよりこの二人が目が離せなくて、このシーンでお互いちゃんと繋がった時は「よかったねー!」って気持ちで目いっぱい拍手でお祝いしました。
それにしても、ウィラードが踊れない事をレンに「オレはこれ(ダンス)ができないんだよ!」って腰をくねらせたら、レンが「初めてのデートでコレ(セックス)はしなくていいんだぜ!」って言うシーンが何だかすごくアメリカンだなって(笑)
あ。豪さんと龍ちゃんの違いはここにもありました。豪さんすごくセクシャルでやらしかった〜。おとな!
あと、やっぱりウィラードが踊れないって分かった時に、ダンス牧場の歌い手さんが「アンタ、カレシに抱かれた事は?」って聞いたのもアメリカンだなと。
高校生!高校生だから!!付きあったらセックスありきなのかアメリカは・・・

レンの奮闘とは別軸で語られるのがアリエル一家。
そもそも五年前の事故で息子を亡くした牧師様が、子ども達を信じられなくなって法律で取り締まってしまえ!ってなったのが切っ掛けなんだよね。
まあ、可愛がってた息子が突然事故で亡くなった上に、麻薬やらアルコールやらって過激な言葉が出てきたら何も信じられなくなるよね。
でも「どうやったら子ども達を守れるか」から「どうやったら子ども達を管理出来るか」へ、いつの間にか変わっちゃったんだね。
アリエルは反抗して町の不良チャックと付きあうし、隠れて悪いことするし、顔を合わせればケンカになるし。
アリエルの気持ちもパパの気持ちも分かるから、見ていて息苦しくなった。
なにより、二人の間で苦しんでるママ、ヴァイがね〜。
ショウの事を愛してるけど、いい加減さすがに嫌になるのよってレンママとの女子会トークを切なく歌うシーンも好きなんだ。
言葉では伝えられない。言葉では伝わらない。
そんな時、どうしたらいいんだろう。って歌うメロディが素敵なんだ。
歌中で「こんちくしょう!」って言ってから気まずそうにするのもかわいくて、大人の女性の魅力。
ヴァイは他にもショウへの気持ちを歌う所があって、想いあってる夫婦なんだなって羨ましくなった。
まず想いあう相手が居ないんだけど、夫婦になるならこんな夫婦になりたいなと。だって円満解決した後の恋人っぽい雰囲気がたまらなく素敵だったんだ〜。幸せ!

ボーモントの三年生が奮起してから、ストーリーが転がるように進んでく。
チャックとケンカして決別したアリエルが、彼女のことを見ていたレンの言葉に心を開くシーンは少しじんときた。
パパとの確執もあって、本当に自分の事を見てくれる、理解してくれる人が欲しかったんだなって、彼女の孤独を知ることが出来た。
それまでは反抗期で我が儘な子だな〜って思ってたのが、そこまで思い詰めてたのかと。
それまではレンの一方通行の仄かな想いだったのが、ここで一気に燃え上がって歌い上げるパラダイスは若い二人の情熱〜って感じ。
ショータイムでショウとヴァイが同じパラダイスを歌うんだけど、こちらはしっとり大人の雰囲気で寄り添いあってるのに対して、初めて通じ合えた喜びを歌っているレンとアリエルの違いが楽しかった。
同じ歌でも歌う二人とその関係が変わるだけでこんなに違うんだね。ミュージカルって奥が深い。

牧師の根回しもあって、レン達ボーモント高校三年生の案が却下された時、「なんで〜」ってなったけど、その時に初めてレンのママが彼らがやろうとしている事に同意してくれて嬉しかった。
レンに大人しくしててって、この町を追い出されたらいく所がないのよって世間の目を気にしていた彼女が、息子の勇気に触れて考えを改めてくれたのがね、良いお母さんだーって。
がっくりきてる息子を慰めて、そんでハッパかけて、牧師様の所に送り出す姿はとても頼れるシングルマザーだった。
こうやって書いていくと、フットルースは登場人物みんなが成長していく物語なんだなって改めて気付いたわ。
レンの事を良く思ってなかった叔父さんも、議会の席でレンの言葉に揺れていたもんね。悪い人じゃなかった!

レンと牧師様の対峙は、レンが結構酷くてびっくりした(笑)
苦悩して現実から目を背けて殻に閉じこもってる人に対して「貴方はもうずっとひとりぼっちだ!」って・・・!
言っちゃだめ〜〜!ってなった。
私も牧師様と一緒に「ズギャーン |||°Д°)」てなったわ。
それでも、まあ、牧師様は徳の高いお方だから、立ち直りましたけどね。私だったら立ち直れない。神の啓示があろうとその場で神様を恨むわ←
川崎マヨさんが息子ボビーとの思い出を歌い語る所は、申し訳ないが切なさより「アメリカー」って思いながら観ちゃいました。
だって、日本じゃ息子と夜明けが来るまでボートに乗ったりしないし・・・うん、文化の違いって重要。
でもおかげで憑きものが落ちた牧師様がレン達を応援するよ!って朝のミサで言ったことでもう一気に解決だいだんえーん!!
こう書くと凄く軽いけど、それまで色々あったんだよ・・・。上手く伝えられないのが残念です。
ダンスパーティ開催が決まって浮かれるレン達が本当に嬉しそうで、あと、大人達もそれまで牧師様に気を遣っていたとこがなくなってみんなが開放されたようでした。
ラスティとウィラードがダンスに着ていく服や車の話をするそのやりとりが高校生ぽくてかわいかった。
ラスティってウィラードがやることだったら何でもオッケーなんだろうなぁ。ラブラブやね。

そしてラストのダンス・パーティはもうお祭でした。
フットルース、ヒーロー、パラダイス、代表曲そろい踏み〜。
フットルースを踊ってる時に男女に分かれて掛け合う所が好き!
伊東咲子さんがヒーローを歌うシーンでは「サツコー」って間の手が!!
ファンの方かな?大阪でも東京でもあって、びっくりしたけど何だか楽しくなっちゃいました。
自由を得たみんなが歌ったり踊ったりする姿が活き活きしていて、レンやラスティ以外にも目が呼ばれて忙しい!
男の子達もビッとスーツできめてかっこいいんだけど、やっぱり女の子が華やかで素敵!
アンサンブルでこの人好きだなーって見てたのが菊地砂織さん。
動きが滑らか〜でついつい目で追っていました。
川崎マヨさんのローラーブレードや、川島なお美さんの歌も見所聞き所かな。
お二人とも私にはテレビスターなので、生で見るとまた感じが違っていてそれまでのイメージが変わりました。
それにしたって川崎マヨさん足なっがい!岡さんもだけど、昭和の人であの足の長さってかなり目立ったでしょうね。

いつまでお続けて欲しいお祭り騒ぎだったけど、終演ってあるんですよね。ええ。
でも、このフットルース。ただでは終わりませんでした(笑)
東京公演では10回越えのカーテンコール!
大阪ではもう数えてなかったけどそれでもかなりの回数出てきて下さいました。
設定がヒーロー(インスト)一曲分なのかな?
出てくる度に何らかのパフォーマンスがあるので楽しかった〜。
鬼のようにカテコを要求する大阪の客(by古*新*)でさえ、珍しく大人しく引き上げましたよ(笑)
しかしほんとに楽しかった。
翻訳や文化の違いで「んん?」ってなる所はあったけど、終わりよければ全てよしなのです。

このミュージカルが愛され続けてるのは、全世代に共通する物語やテーマがあるからなんだなと思いました。
若者はレン達に共感するだろうし、大人はショウやヴァイに共感するだろうけど、自分達の若い頃の事も思い出したりして、子ども達との距離が変わるかもしれない。
古典は苦手〜なんて言わずに、そういう舞台も見るようにしようと思ったりもしたのでした。

残す所富山と福岡。
最後まで突っ走れ!レン!!