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観劇、LIVE覚書

東京セレソンデラックス解散公演 笑う巨塔   20121115

東京セレソンデラックス解散公演
笑う巨塔

シアタードラマシティ
2012/11/13〜18

東京のとある町にある四王病院。そこのロビーに集まる様々な人々。
極秘入院している総裁選を控えた山之内代議士と隠蔽工作に四苦八苦する秘たち。
そこへ現れるのは最強最悪のトラブルメーカー富雄。
昔、世話になった親方、花田浩美の見舞いに来たのだ。ただそこにいるだけなのに次々と問題を起こし、それを大きくしていく富雄。それに振り回される浩美とその家族。
さらには代議士に看護師や医者。
そして自体はとんでもない方向へと進み、病院中を巻き込んでいく!


工さんが出てるー!ってそっち目当てでチケットを取ったのですが、なんのなんの大当たりでした!
暗転無しの二時間半。次々と展開してゆくストーリーに笑いの渦に巻き込まれ、最後はダンシン☆で締め!
めっちゃ幸せな時間だった〜〜〜。
帰りの電車で「サザエさんちみたいやった。素敵なおもてなしをしてもらった」って呟いたんだけど、帰ってご挨拶文面見たら「おもてなし」って言葉を使われててとても嬉しかった。
投げられたモノをちゃんとキャッチできたら気持ちいいですね。
さて、以下いつもの通りのごくごく私的な感想です。

終始気持ちの良い舞台でした。
なんつーかこう、清々しい!笑って、笑って、笑って、笑いっぱなしで仕舞いには涙が出るほど笑ったからだと思う。
もう、とにかく劇場入るなりお祭ムード満点で、ロビーにずらり並ぶお花もですが、何て言うのあの、歌舞伎とかでよく見るヤツ。
名前書いた木の札が並んでるヤツ。
アレがね、ロビーの壁一面ずらっと並んでるんですよ所狭しと!!あんなんドラマシティで初めて見たわ〜〜。
たぶん上の梅芸でも見た事ない。めっちゃ格好良かった。
しかも私でも知ってるような有名人がずらーーー。
それだけで、東京セレソンデラックスって劇団がどんだけ愛されてるのかがわかったよね。
んで。ホールに入ったらこれもまたびっくり。何かもうキャストおるーーー!っていうか私服ーーー!?えーーーっ写メってるーーー!!?
今までの観劇でこんな風景見たことないよ!ってくらい、なんかお祭ムード満点で(二回目)会場全体が華やいでた。
買ったパンフにサインして貰う権利を獲得するためにジャンケン大会が開かれたり。舞台の縁で役者さんと写メッたりお話ししているファンの方がいたり。
自由ーーーーー!!!!!!
残念ながらパンフは購入してないんですが(かっときゃよかったーーー!)、何かもうその様子をみているだけでワクワクした!
写メッていい舞台とかびっくりするわ!前説写メッたわ!
そんでまぁそんだけわちゃわちゃしてたら当然中々キリがつかないかと思いきや、「役者は用意があるから楽屋に戻れや」(意訳)とアナウンスがかかれば、わりと皆さん引き際よく座席に戻り、役者さんはお名残おしいがまた後でと去ってゆく。(これ某犬でやったら大変な事になると思った(笑)
そんで始まる前説コーナー。

舞台で前説!!!?

いや。あるけど。あるやつもあるけど。でもガッツリ前説だった。
さらっとスタッフさんやキャストが出てきて携帯の電源を〜なんて軽いモンじゃなく、ほぼネタ。
あとダンス。最後に踊るのの振付の練習した!これがねー、もー、気分を上げてくれるの!
最後にお祭騒ぎできるんだ!ってワクワク倍増〜。
そうこうしてたらヒロインがやってきて・・・いよいよ舞台の幕が上がるわけです。(緞帳、常にあがりっぱやけど)


暗転無しの二時間半ノンストップ公演、場面は病院のロビーのみ。
ナースステーション、トイレ、エレベーター、階段、病室へ続く廊下。
そして背後に透けて見えるバルコニー(喫煙ルーム?)からキャストが出たり入ったり来たり戻ったり。
これ、自分がどこにはけてどっから出てくるかを覚えるだけでも大変そう(^_^;
けど、すっごく緻密に計算されて作られた舞台だなと思った。
舞台上に人がいなくなった事ってなかったんじゃないかな?あったとしてもほんの数秒、次の瞬間にはどこからか誰かが出てきて話が続く。
お話も、粗筋だけ読むとさほど変わり映えしないコメディかな(失礼)って感じたけど、めーーーっちゃ、めーーーーーーっちゃ繊細に仕組まれてて感動した。
言葉の取り違え、よくある勘違いのオンパレード!でもそれがすんごいバランスで積み上がっていって、ジェンガ!おっとっとっと・・・って危うさが楽しい。
全てが笑いに、そして次なる展開の布石になっていて、「そんでそんで?」と身を乗り出して次を待っちゃう。
笑いがしんどくなるコメディってあるじゃないですか。なんかもー「ここ。笑うところだから」みたいな空気を舞台上から発されて、客もお愛想で笑う。みたいな。お約束のシーンだから笑う。みたいな。
そうゆうのを一切感じなかった。みんな笑いたいところで笑ってたし、私途中でちょっと集中きれてあくびとかしちゃったけど、そうゆうゆるさで観てても良い感じの、ほんと良い感じの空気感だった。
お正月で親戚ンちに行って、大人達は酒飲んでわいわいやってるからこっちはこっちでテレビ見ながら漫画読みながらたらっとするか〜な子供時代のあのゆるーい、ほんわかした懐かしい雰囲気がそこにあった。
実際、私18列目上手の一番端の席で、ドラマシティはなだらかにカーブしつつ段差も結構あるので客席をなめて見えるっていうか視界に入るんだけど、なーんかみーんなほんわかしてて、でっかいお茶の間って感じだったのよね。(しかしやっぱりドラマシティはいい劇場だと思うほんまにどこ座っても見やすい)
そんなゆるーいふんいきの中で巻き起こる怒濤の爆笑劇。
好きだなって思ったのは雰囲気だけでも緻密に組まれた展開だけでもなく。キャスト1人1人にストーリーがある群像劇に仕上がっていたこと。
「ザ・主役ですねん」て人を中心にそこばっかりクローズアップされて周りの人物像が薄〜いお芝居やお話は苦手。演劇に限らず。
感情移入できたり注目できる誰かがいるから、空想のお話を楽しめると思うんだ。って、これは私の勝手な考えなんですけど。
だから、この笑う巨塔ではほんとたーくさんのおっもしろいキャラクターが散々わちゃわちゃ絡み合って転がり回って「自分の」思いを遂げようとちょっともがいたり、いい加減になってみたりしているのが楽しかった。
でもちゃんと話がぶれなかったのは、やっぱりヒロインふみと主役(?)富雄の存在があったからだと思う。
お正月の露天で売ってる飴細工バルーンアート
何か色んなモノがこねくり混ざってどーなんのどーなんのって見てたら「ハイ、こんなんできましたー」って見せられた時の「わっ」に似てるかも。
そんで、舞台の幕が下りた後もこの人達の生活は続くんだろうなって想像をふくらませることが出来るラストだったのも好きなとこ。
先生と看護婦はどうなったのとか、富雄とふみはまぁ仲直りしてるよねとか・・・秘書トリオはちゃんとお仕事できてるのかしら。とか。
出来ることなら私もあの病院に入院して彼らの動向を見守りたい!
きっとあの病院の磁場がおかしいからあんな変な人達が寄ってくるんだよ。あんな入院ライフなら楽しいだろうな〜

まったく内容に触れないまま本当に「感じた想い」略して「感想」を書いているわけですが、なんかここであのキャラがこーしてとか書き出すともう全部を書かないわけにはいかなくなる気がして。そんでそれはナンセンスな気がして躊躇われるのです。
とりあえず親方めっちゃかわいかったです。泣きじゃくってダダこねて嘔吐く飛び職人推定53才(劇中で年齢言ってたような気もするけどこの際スルーだ)
あと秘書トリオ末席のすっとぼけ女子あゆみちゃん。初っ端出てくるなりお弁当もぐもぐもぐもぐハムスターか!っちゅーくらい両のほっぺぱんぱんにして一生懸命租借している姿は最高に愛らしかった!
タクミックスやデビッド伊東に説教されながらももぐもぐしている姿は萌としか表現できない。ただしああゆうのが新人でやってきたら私の神経は焼き切れる。
アドリブコーナーになるのかな。後半随所で見られた富雄の無茶ぶりコーナー☆も見所でした(笑)
ほぼおっさん全員が餌食に。女の子はあんまり無茶ぶられてなかったな〜。工さんもやんわり弄られてましたが「やんわり」でした。もっとやってくれてもよかったのに!
前方の席なら親方や秘書の泣きの一言が生声できけたかもですが、逐一そうゆう泣き言を宅間さんが拾って言うから、場内はその度に爆笑でした。ベテラン(年上)を苛めるベテラン(年下)。最高ですな。


そんな感じであっちゅーまの幸せの時間でした。
最後スタンディングで踊るんだけど、常連さんやファンの方が多かったのか、皆さん前のめりで立ってました。
もちろん私も「もういいか、もういいか」って感じでソワソワ。
宅間さんが挨拶の時に「大阪のお客さんは反応が良くて、立って下さいって言うまでもなく前のめりで立って下さるから嬉しい。むしろ早く立たせろ位の勢いでほんと嬉しい」てなことを仰って下さって、関西人としても鼻が高かったりします。
いや、だって。お祭何やろ?騒いでええんやろ?ほな騒がな!な気持ちで!
そんで、こーゆー雰囲気だと、中には「煩わしい」って感じるお客さんもいると思うんだけど、とりあえず私の周囲はみんな楽しんでいる人ばっかで倍楽しめた!
やっぱいいよね、みんなでわいわいできるの!コメディだしね!
やっぱり挨拶の時に宅間さんが「最後だしみんなで楽しめることをしようと思って考えたので」って仰ってて、大正解!!って思いました。
ほんと「おもてなし」の精神だよ。だからこっちもとびっきり楽しんだし、ありがとうございましたって心から思えた。

東京セレソンデラックス。これで解散なんだって。
初めて見る公演が最後の公演だなんて、残念すぎるよ〜〜。
でもこれも挨拶の時、宅間さんが「絶対また舞台をやりたい。その時は必ず大阪にも帰ってきます」ってきっぱり言い切ってくれて、寂しさはなかった。
本当に舞台が好きでお芝居が好きな方なんだな。きっと劇団の方も1人1人そうなんだろう。
それは見せてくれた舞台が全てだった。
解散する事情とかはイチミリも知らないけど、また戻ってくるって言い切った言葉を胸に、次の活動のお知らせを楽しみにしていよっと。

は〜。なんか爽やかだ。