boti-poti

観劇、LIVE覚書

薔薇降る夜に蒼き雨降る  20121103

DIAMOND☆DOGS 10周年記念公演
薔薇降る夜に蒼き雨降る

天王洲銀河劇場
2012.10.31〜11.4

スペイン、マドリード
”ラ・コンテッサ”「伯爵夫人」と名乗る謎めいた美女が冷厳な執事を伴って、私立探偵イグナシオの許を訪ねてくる。
彼女は言う。「夫を殺して欲しい」と。
政府高官であると言う彼女の夫ウーゴは、愛人と共謀して彼女を死に追いやろうとしている。
そして彼女は自らの身を守るため、また自分を裏切った夫への復讐の気持ちで、殺し屋を雇おうとしている。
探偵と言っても、詰まるところ市井の何でも屋に過ぎないイグナシオは困惑し、一計を案じる。
偽の暗殺者を仕立てて、うまく彼女の依頼をかわそうとするのだが・・・・・・。
奇妙な事件は、やがて地中海を臨むバルセロナへと舞台を移し、思わぬ方向に展開していく。


いよいよ10周年記念公演のラスト〜ってことで行って参りました。
ずっとDで探偵モノが観たいな〜。泰ちゃん助手の狂言回しで、あーでこーで・・・なんて思ってたので、探偵モノ、泰ちゃん助手、とか前情報が入ってくる度に「すわっ」となってました(笑)
しかも〜〜〜の前日情報に狂喜乱舞。期待をぱんっぱんにふくらませて観に行った結果は・・・?(笑)
ま。いつもの偏見と私見に偏った感想でっす。


複雑な人物関係に出演者も混乱気味って話だったので、1回観劇じゃ把握できなさそーだな〜と心配だったんですが、複雑なのはむしろ人物の名前でした(^_^;
ウーゴ役のテッカンさんも「大事な場面で噛んじゃわないか心配」って、確かに長ったらしい名前のオンパレード。ただでさえカタカナ名前苦手なのに、耳慣れないもんだから余計に頭に入ってこず。
しきりに名前を呼ばれてる筈のよっくん@シルベストレすら観終わった直後でも「シ・・・?」でした。TAKAちゃんのエフラインに至っては劇中聞き取れた試しがなかった。あ、滑舌とかの意味でなく。
劇中に把握出来たのはアンヘル、カッサンドラ、マリア、ラファエル、ウーゴ・・・かなぁ。あ、あとチャンドラ。(なワケで、感想も役名実名入り乱れます)

さて。謎が謎をよぶっちゅー触れ込みの(確かそんなだった)内容ですが、「謎」自体はそんなに難しくなかったです。
二幕冒頭で出されたカードで「あ、あの人がアレで、おそらくこれはこの人」と予測がついたし、実際そうだった。
ただ二転三転する展開は確かにめまぐるしかったけど、追いつけないほどではなかった。
なので、説明台詞や経緯を整理整頓場面はもう少し減らして、もっと台詞の掛け合いの中で想像したり思索したりさせて欲しかったかな。
観る側の想像力の限界を想定して作られたような気がして、ちょっと心外(笑)妄想と想像ならお手のもんだよ。

役所はパンフ巻末でも語られてたけど、あて書きが多かったのかな。
新吾さんの悪役アンヘルとリーダーのダメっこシルベストレはちょっと意外だったかも。
前日に新吾さんが悪新吾という情報を頂いたので、期待に胸がパンパンだったんですが、ちょい私が想像してたのとは違ってました。
貿易商の表の顔とは別に裏に通じる顔を持つ(武器商人とか闇金支援系かな?)って設定。もっとグワッと悪の顔を出してくるのかと思いきや、丁寧な言葉遣いと物腰で紳士的でした。
静かなる悪〜って感じ!悪い新吾さん好きなのですが、ギラギラ系の悪人を想像してたので、なるほどこうくるのか〜と。
しかし最後の最後まで上手くやってさあこれからって時に、カッサンドラに毒を盛られてしまったあたり、アンヘルも真の悪ではなかったわけです。
リーダーはカッサンドラに手玉にとられ、仲間を裏切り、何もかも捨てて愛に溺れようとしたら一人で溺れ死んでしまいました。
って言ったら身も蓋もないか〜。でも実際そうだったもん。
純愛に死すってイメージなかったもんだから珍しい役所なんじゃないかな。
類さんのへっぽこ探偵と泰ちゃんのすちゃらか助手は名コンビでしたね〜。
ラファエルくんのセリフにしきりに出てきた「ウチの先生*****ですから!」がなんか好き。
今回びっくりしたのが、お芝居して踊る類さんと、歌って踊る皓ちゃんって言ったら失礼かな。
TAKAちゃんと皓ちゃんのハモりは驚愕の一言でした。TAKAちゃんが、頑張ったと思う!!!(笑)
皓ちゃんが音すっ飛ばしてもTAKAちゃんの安定感で何とか聞けた。のに、何故か皓ちゃんのが音量あるんだ。音声さん調節して〜〜と何度思ったか(^_^;
類さんはお芝居上手くなったな。なんて上から目線でごめんなさいなんだけど、初めて観たのがサンバ・ナイトのアクト。それからマランドロかな。その後、芝居系の舞台は観てなかったので、そわッとする所がなかったのに後で気付いて「おぉ」と感動しました。
ダンスは前からもあったけど、芝居&ダンスで「おぉお」となったのでした。
そんで安定の利さん。利さんの役が一番ミステリアスだったな。
謎の中心であるカッサンドラ周辺は早めに素性が割れてたので、一般人のふりしつつそこに絡んでいくマヌエルがどんなカードをもってるのか、敵なのか味方なのかとワクワク。
二幕に入って、ラ・コンテッサに関する種明かしがあり、マヌエルとマリアの血の繋がらない兄妹って設定ですぐにピンと来た方は多かったんじゃないかな。
組織を裏切ったシルベストレに銃口を向けるシーンも好き。
両手で銃を構え、そこまでしてもまだ躊躇いを残すマヌエルに、優しさやシルベストレへの最後の期待を感じました。
ま、その後すぐに殺されてしまうんですが。
そこからは怒濤の展開だったな・・・。
アンヘルが出てきてカッサンドラが撃たれて、それを助け起こそうとしたシルベストレがアンヘルに刺されて。
そして誰もいなくなった。的な暗転の後、アンヘルと実は生きていたカッサンドラの昼下がり。
ようはシルベストレはいい面の皮だったわけだなと思いながら二人のやりとりを観てたんですが、最終的にアンヘルも毒殺されたので二人ともいい面の皮だったんだなと。←
ここの二人のやりとりも好き。ちょい大人な新吾さん(笑)
やっと自由になれると喜ぶカッサンドラに、俺からは逃げられないよなんて言うから殺されちゃう。
銀行にベッドを持ち込む人はいないわ〜からの掛け合いはおしゃれでしたね。メインバンク扱いですが。
私はアンヘルを上げたいのか落としたいのかどっちだ?

カッサンドラについてはルパンのいない峰フジコの一言で私は収束してしまうんですがどうだろう。
フジコちゃんは自分よりもずーっと上手のルパンがいるからかわいい女でいられるんだな〜と。
カッサンドラは彼女を掌の上で転がしてくれるほどのいい男がいなかったのね。なので、信条である自己の幸福と利益を追求した結果、組織を裏切り、愛してくれた人を裏切り、最後に足かせになった共謀者も始末した。と。
こわい女だな〜と思う反面、男ってばっかだな〜〜と(笑)
そういえば観劇中に「板の上にいる男子がカッサンドラ介してキョウダイなんですけど」って事に気づいて、笑いそうになってしまいました。
どういう意味のキョウダイかは分かる人だけ分かればいいと思う。
とりあえず友達にそれを言ったら、ビンセンテとエフラインは違うんじゃないかって意見だったけど、二人がカッサンドラ探して歌う歌詞に「初恋」ってあったし、少なくともビンセンテは一回くらいはあるんじゃないかな。
そういえば、ビンセンテとエフラインとカッサンドラの関係性って必要だったのかなってちょい考えました。
んで、関係がないと二人がバルセロナへ向かう理由がなくなっちゃうし、前半でラ・コンテッサがカッサンドラの可能性をちらっと考えて、それを打ち消したのが二人との関係性とカッサンドラの生まれの話だったので、やっぱり必要だったのかと。
カッサンドラがジプシーで二人の生まれ故郷と一緒ってすごい伏線のように感じるんだけど、可能性の否定意外には有効に使われてなくて残念だったかな。
カッサンドラを中心にするなら、もっと彼女の根っこの部分に触れてってほしかったかも。
どうしてあんなに彼女が「自由」に執心していたのか、それを知りたかった。

もう一人のヒロインって言っていいのかな、マリア。
バルのマスター、マヌエルの血の繋がらない妹。見るからに元気ッ娘!って感じで、ラファエルやチャンドラとじゃれ合ってるとこが園加さんのイメージまんまで微笑ましかった。
カッサンドラ周辺がごちゃごちゃしてたから、マリアが出てくるシーンは真っ昼間のスペインって感じの日差しを感じました。
ウーゴ達革命家の間で象徴とされているバルセロナ王家(?)の正当な血筋、ラ・コンテッサが彼女だったわけだけど、その設定は種明かしとオチとしてしか使われてなくてこれも残念。
マリアがラ・コンテッサって分かった時、悪い新吾さんが!悪い新吾さんがマリアをどうしちゃうの!?って期待したのに!!
ま、マリアが毒牙にかからなくてよかったですけど。
友達はマリア殺して替え玉たてて実権握るんでしょって言ってたけど、私はどうせなら飼い殺しにしてカリオストロの城系でお願いしたいです。そんでへっぴり腰の探偵と探偵助手が助けにくればいーんだよ。
ま、その前にアンヘル殺されちゃってるんですけどね。ツメが甘かったから(こだわる)

そんなアンヘル隠し球、チャンドラ
なんでインド人?関係ないのにイグナシオ達と行動を共にする辺り、あからさまに怪しいし。
けど、そのあからさまに怪しいのが却ってトラップだったりする?と幕間に話してたら、まんまでした。
うーん、これは一幕観た時点で断定できなかったのが悔しい!
バールや観光でぽえぽえしてたチャンドラがスナイパーの顔を見せた一瞬はハードボイルドだったんですが、でもカッコがインド人の観光客だったのでいかんせん締まりがない。
高くつく守護天使は、二幕途中で「志村、うしろうしろ!」な動きを見せていました。何で誰もあのインド人怪しくないか?って思わないんだよー!!マヌエルあたりは気付いてもよさそうなのになぁ。

ウーゴとソニア夫妻は、何かもうアンヘルのおかげで踏んだり蹴ったりってかんじですが、お二人のデュエットはさすがでした。
本職ここにありって存在感!そして安心の安定感!!
カッサンドラの裏切りに気付いて、何とか彼女の動きを封じようと画策し、言い聞かせるシーンはとても面白かったです。
だって二人とも必死なのに、カッサンドラは「んー?」って恍けた顔で、おそらくどうすれば自分に得策かを案じているわけですよ。
それをハラハラ見守り、ボスと愛しい人の板挟みで苦悩するシルベストレはとても・・・何て言うか、ちょっと間抜けでした。
ほんとに組織一のエージェントなのか。愛が人を変えるのか。
そういえばテッカンさんがブログでダンスにかなり狼狽えていたのが微笑ましかったのですが、なんのなんの、しっかり踊ってらっしゃいましたよね。

あと歌と言えば、新吾さんがびっくりするほど歌えててびっくりしました。
音域があってたのか、曲調があっていたのか。安定の歌声でドキドキ。
思ったのが、MDRで歌うようなロック調よりも歌謡曲アイドルソングが歌いやすいのかも。
日頃の修練の成果でもあるんでしょうね。後半の出番考えると、タップやりながらのお稽古は大変だったろうな〜。


DVD買ったら二幕ばかりリピりそうだけど(なぜなら1幕ほとんどアンヘルいないから)そういや途中で踊ってたなって今思い出した。
ほんと、唐突にDが踊り出して歌い出すんだけどもあんまり本編と関係なかったので、どうせならその時間をカッサンドラなりラ・コンテッサなりを掘り下げる時間に充てて欲しかった。
闘牛士モチーフぽい衣装で出てきた時はどこの聖闘士が出てきたのかと・・・
二幕で園加さんまでその衣装で出てきた時は、あれ?銀英見に来たんだっけ?って錯覚したわ〜。
あの歌はステキだったんだけどね。ロージーナイトって聞こえたから、大和さんのコメントにあった歌ってこれなのかな?
またDの公演でも歌ってくれると嬉しいな。

なんかぐちゃぐちゃ書いたけど、芝居メインのD公演を観たのはこれが初めて。背徳はDVD最後まで観れた試しがないし、ブーアレも行ってないので、なるほどこんな感じか〜って感触でした。
定期公演のダンスオペラにDの魅力の真髄があるのかなって思いもあるけど、今回のミュージカル形式での舞台も色んな可能性や刺激が詰まってて楽しかった。
背徳は男性ばかりの愛憎劇ってとこが苦手なので、どんどこ女性ゲスト呼んでやって欲しい。
そんで、その時はどうかダンスは最後のレビューだけでお願いしたいです(笑)