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観劇、LIVE覚書

タップ・ジゴロ   20121003〜

タップ・ジゴロ

博品館劇場
2012.10.03〜14

脚本:広井王子
演出:本間憲一
振付:HIDEBOH、森新吾
音楽:鈴木和郎

日本が戦争からの復興にわきながらも、まだアメリカの占領下にあった頃の物語。


ずっと観たいな〜観たいな〜、再演しないかな〜。と待ち望んでいたタップ・ジゴロの再演です!
昨年、ヒデボーさんのブログで「来年共演する〜」って新吾さんの名前が出た時はタイトル言ってないのに「もうこれしかない!」と飛び上がって歓喜しました。
さて。以下、いつも通りの個人的で偏見に満ちた感想です。

とにかくすっごい贅沢な舞台だった〜。
新吾さんだけでなく、井上和彦さんや横山ちささんて声優会の巨人がお二人も出ていて、さらに広井王子が脚本やってるとか元アニメオタのゲームオタが反応しないはずがない!
開演前や休憩時間のアナウンスが井上さんですよ奥さん!
めっちゃいいこえ〜〜〜(´▽`)
ってか贅沢すぎない!?もったいな!もったいなぁ!!
・・・でもいいこえ〜〜〜〜(*´▽`*)の繰り返しでした(笑)
ちささんはちっこいのにパワフルでエネルギッシュで、年齢不詳のキュートさでばっちこいヒロイン。
フィナーレ(カテコ?)で帝国歌劇団リミックス(笑)が流れた時はテンションあがった。
ちささんが無声音で歌ってたのもなんか嬉しかったな〜(^▽^)

さて。内容はと言うと、戦後復興まもない東京・銀座。
天才タップダンサー・ジョニー佐々木の栄光と衰退の物語。
そこにジョニーのまわりの人々の人生が絡んで、お話に奥行きをもたらしていました。
特に、藤井や竹中、弓削、美奈子あたりは説明がなくてもぱっと彼らの生活の変化やその経緯が想像できたので、より物語を楽しむことができました。
お話の軸はジョニーだけど、ちゃんと周りの人達が生きているのが裏や脇の物語が好きな私には見応えがあったな〜。


ジョニーはね、言っちゃえば典型的な昔の芸人さん。
私がぱっと想像するのは横山ヤスシ師匠。子供心にむちゃくちゃな人だなぁと思いながらも、テレビで見せてくれる「笑い」が好きだったな。
宵越しの金はもたねぇぜ。で、稼いだら稼いだ分だけパーッと使っちゃう。そんな気っ風のいいジョニーにそれとなく本気で惚れちゃっているのが美奈子。
美奈子は何て言ったらいいのだろう。たちんぼ?パンパン?娼婦?アメリカさん専門てことにプライドもって、生きてくためにこの仕事をしてるんだって胸張ってた美奈子は、最後、幼なじみ鞠子の成功に同じ夢を抱いていた自分の現実を嘆いた。
何が違うのと叫ぶ美奈子に、夢は見ずにつまんない人生選んでる私はちょっとぐっときちゃった。
だから、鞠子は真っ直ぐすぎて眩しかったな。
真っ直ぐ真っ直ぐ、夢を追いかけることに何の疑問ももたない彼女は、不安じゃなかったんだろうかって考えて、その分努力したんだなってジョニーのセリフを思い出した。
サムシング・エルスは誰でももらえるものじゃないから価値があるんだろうけど、美奈子と鞠子の違いは何だったのか、すでに娼婦になっていた美奈子しか知らない私には想像しかできないのです。
そんでそんな2人の対比が、ジョニーと藤井くんより切なくて悲しいと思うのは、私が女だからなのかな。

藤井くんは、ジョニーに憧れてたのかな。成功している人に憧れていたのかな。
多分後者だと思うのは、彼がタップに身を入れてなかったから。
開店前の掃除をさぼってコミカルに踊る藤井くん。ちょっと失敗しても二カッと笑うおさる顔がとってもキュート。
バタバタタップも、わざと下手に踊るのは大変だろうなぁと見てしまうのは演じてる人込みで見ちゃうからだろうな〜
バタバタタップを素人芸とジョニーに言われてムッとしたり、チップを貰って普通に嬉しそうだったり。藤井くんは単純で素直な子なんだろうな。
ジョニーに対しては売れっ子に対する憧れと、自分なりの努力を認めて貰えない苛立ち。そしていつかは俺がって野心が入り混じって相当複雑。
折角ジョニーがグループタップのメンバーに誘ってくれたのに、練習の途中からいなくなってしまった藤井くん。
「後はお好きにどうぞ」って感じのジェスチャーではけてっちゃって、「あーあ」って思った。
グループショーに出た時も、みんなはタップを踊っているのに、所々違う振付で踊る藤井くん。
タップが出来ないんじゃない。俺はもっと違う事がやりたいんだって主張。踊り終わった後も、お客さんに挨拶してるジョニーや仲間の所に行こうとするけど、何かを思って踏みとどまり退場。
あの時、藤井くんは何を考えたんだろう。瞬間的に、そこに自分の居場所はないって察知しちゃったのかな。
そんな藤井くんを木村さんがスカウトして成功するわけだから、結果的には良かったんだろうけど、なんだかちょっと寂しかったのでした。
成功した藤井くんとジョニーの再会のシーンも、切なかったな。
昔憧れていた人の落ちぶれた姿がショックだったのか。
それともぼうやってバカにされて、素人呼ばわりされた恨みがまだあったのか。
どちらともとれるけど、どちらとも言い切れない。そんな青いぼやけた寂しさが胸にわきました。
藤井くんが「いつか足の吹き替えを頼むかも知れませんから」と言って渡した「前金」
昔ジョニーが「どんな芸でも客に見せたら金は受け取れ」って渡したお金とは額が違ってた。
施しなのか、あの時の意趣返しなのか。マイナス方向にしか考えられないのは、ジョニーに心残りをみせた木村さんを強引に連れ去ったからかな。
そういえば、成り上がった藤井くんが木村Pの肩を抱いて現れた時のやりとりがツボでした
「木村プロデューサー、今夜は返しませんよ」
「なぁに、他人行儀ね?今夜はプライベートでいきましょ」
「・・・木村さん」←ちょい調子のった顔で
「ジュンコってよんで」
「じゃぁ・・じゅんこ(*`∇´*)」
これがタップ・ジゴロでなくDの公演だったら間違い無く笑いが起きていたと思われます(笑)
勝手に藤井くんはABZで言う所のピロシだと思った〜

井上さん演じるキャバレー・ニューペンギンのマスター、黒ドスの総次郎こと竹中総次郎や、戦後の混乱で成り上がっていった弓削冬吉、弓削の部下の杉本の関係性、そこからまた木村Pやジョニーに絡む関係が面白かった。
竹中がジョニーのタップに拘る理由なんかは少し説明調だけど、昔を懐かしむように夢見るように杉本に語って、はっと言葉を切るって流れがすごく自然ですんなり聞くことができた。
物語のキーワードが栄光と衰退なのかな。
ジョニーと鞠子と藤本。弓削と竹中と杉本。この3人2組がそのキーワードを体現していたと思う。


で。物語とは別にあるこの舞台の見所はやっぱりタップ!
他の舞台やテレビなんかでタップダンスを見る機会はあったけど、ぜんっぜん違ってた。
同じヒデボーさんの座頭市でも、生で見るとやっぱり迫力が違って目が釘付け!!
一回目が丁度足下がよく見えるお席だったので、とにかく足下ばっかり見ていました。っていうか、視線が上に上がらない!
いつ見ても、何度見ても不思議。なんで足からあんなに色んな音がするんだろう。しかもすごい早さで。
前にヒデボーさんが子供にタップを教える番組を見たことがあって、その時は「ほー」とかって納得してたけど、いや、実際目の当たりにするとそんな事言えないわ。
まったく。まーーーーったくわかりません!!(笑)
鞠子が「いい音色」と言うのも頷ける。ただ音がしてるだけじゃなく、そこに感情がある。
落ちぶれてしまったジョニーが引きずるように打った音の響きは本当にとても切なかったし、酔っぱらって適当に踏んだタップは、ほんとに軽い音で、まったく気持ちがのってなかった。
ショータイムの圧巻のタップは、もうとにかく目の前にキラキラした光が散らばって、目にも耳にも楽しかった!
LiBLAZEの4人もキラキラしてて、私はパーカッションを叩いているスキンの方のコミカルな演技がとても好きだったな〜。
あとFunk-a-Babyのお二人!ニューペンギンでジョニーのバックで踊ってるのがとーってもキュート!衣装もかわいかった〜〜。
けれどヒールでタップするってその技がやっぱり一番すごい!ちゃんとそれ用のシューズなんでしょうけど、踵の高い靴であんなに踊れちゃうのが感動ものです。
以前にマランドロでピンヒールで踊ってるのを見た時もだけど、女性ダンサーって男性に比べてかなり高度なことやってるんじゃ・・・って思う。ヒールで歩くのもひーひーゆってる私には信じられない世界です。
ラストのフィナーレでは出演者全員で座頭市
井上さんのブログで足がパンパンって言ってたけど、1シーンでそんなになっちゃうなら、ヒデボーさんやタップメンバーはもっと大変なんだろうなと。
新吾さんも足吊っちゃいそうですって言ってましたもんね。
あ。でもでも。タップももちろんすごかったんですが、そこにコラボしてくるシンゴモリもすごかったです!
種ダンス共演ってDでもお馴染みだけど、4対1のタップとロックスタイル(って言ってもいいのかな?)は改めて新吾さんのすごさにキューンとしました。
今回はぱっと両手両足開いて戯けた顔するのが好きだった。そこから流れるようにスムーズに動いたかと思うと力強く弾けて・・・
心臓バクバクでしょうね。


ちょっとドキドキしちゃったシーンもありました。
二幕冒頭のストリップシーン!
チナツさんて本業の方が出てらしたので、どう絡むのかな〜って思ってたらほんとにストリップやった〜〜。
最後ぱーんと前に向かれた時の衝撃。おっぱいぽよよ〜ん☆
もちろんB地区にはハートの飾りがついていて隠されているんですが、下着痕とかもちろんないまっしろでやわらかそうなおっぱいに目が釘付けです。
何より見せる為に磨かれた体はとってもステキでした〜〜。やせすぎず鍛えすぎず、柔らかそうでおいしそうな肢体。理想です。
あと、美奈子とジョニーのラブシーンになるのかな?
ピンクの窓で影絵となって展開される2人の逢い引き。えーと・・・割と客席にキッズ多かったんですけど大丈夫なのかなアレって後で思った。
ええ、多くは言いませんが、「おかーさんあれなにやってるのー?」って無邪気に聞かれたら答えようがありません。それくらいの衝撃(笑)
舞台を観に来るおりこうそうなおぼっちゃんおじょうちゃんはしないでしょうが、その辺の小学生に見せたら暫く休み時間はその事で持ちきりになると思うよ!


何度でも楽しめるのがこの舞台のシステムです。ってヒデボーさんが仰っていたように、ほんとに何度見ても楽しい舞台。
私は残念ながら2回しか見れなかったけど、できることならもっと見たかった〜。
スケジュール発表の時は何で一日一公演なの〜?って不満もあったけど、見たら納得。あんなの二回回しできないよね(^_^;

いよいよ明日で千秋楽。お別れは寂しいけれど、また、再々演がかかることを祈っています。
素敵な人達の、優しくて切ない人生の物語でした。